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外国人技能実習制度とは

法律制定の目的と歴史

外国人実習生制度は、開発途上国等への日本の国際貢献、国際強力の一環として、それらの国の若い人々を実習生として日本に招き、技術/技能/知識を習得してもらうものです。帰国後、母国の産業界の発展に寄与できるよう創設された制度です。

高度経済成長期に海外進出を果たした日本企業は、現地法人や合弁企業で現地雇用した外国人社員の技術レベル向上のため、日本での研修を行っていました。研修には多くの企業からの要望があり、開発途上国への支援の意図も加えられ、1981年に在留資格が創設されました。

その後、日本経済がバブル期にはいると、いわゆる「3K作業」(きつい、汚い、危険)に日本人の若者が就かない為に、外国人労働者への需要が高まります。その後のデフレ期には、今度は、人件費の削減圧力などから、やはり需要が高まります。2008年には、この「研修」という在留資格での入国者数は10万人を超え(*1)ました。

その中で、悪質な仲介、斡旋業者による賃金不払い、サービス残業や、違法な低賃金など、当初の趣旨とは乖離した低賃金労働者としての扱いが増え、問題化します。これを改善するため2010年7月1日からいわゆる「改正法」(出入国管理及び難民認定法 及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国 管理に関する特例法の一部を改正する等の法律 )が施行されています。
改正法では、新たな在留資格「技能実習」が創設され、受け入れ側に労働基準法や最低賃金法等の労働関係法令上の遵守と技能実習を義務づけています。本来の趣旨が守られ、悪質は業者を排除される事が期待されています。

2011年の東日本大震災復興や2020年の東京オリンピックの需要に対し、少子化で人手不足が加速し、ますます、外国人労働者受け入れの気運が高まっているため、2015年度中に実習期間を3年から5年へ延長することが閣議決定されています。

*1 技能実習生の入国・在留管理に関する指針 (平成25年12月改訂) 法務省

概要

外国人が、出入国管理法の別表第一の二の表(*2)における「技能実習」の在留資格をもって入国し、給与をもらいながら技術を身につけることができる制度です。

実習生の在留資格は4つに分類されます。一つの企業が単独で受け入れを行う場合をイ、中小企業などが組合をつくり、受け入れを行う場合はロとなります。入国後の主に技術習得の為の期間は1号、その後、技能検定などに合格した者が2号の資格を取得できます。実習生は、さらに数年、技術の習熟を目的に労働する事ができます。

*2 出入国管理及び難民認定法 入国管理局

実習生の在留資格
目的技術習得技能習熟
企業単独型1号イ2号イ
団体監理型1号ロ2号ロ

企業単独型のイは、送り出し側の国に、自社の合弁企業や子会社、または、実績の十分にある取引先がある事が条件で、中小企業には敷居が高くなっています。そこで、中小企業などが実習生を受け入れる為には、非営利の団体に加入し団体監理型を選択することになります。これは、改正前に問題となった、悪質な仲介業者を排除するためで、監理団体には非営利で厳しい責任と監理義務が課せられます。

在留期間は、最長で、1号2号合わせて、3年が得られます。1号の期間の最長は、1年で、2号の期間はその約1.5倍とされていますが、1号が9ヶ月以上あれば、それ以上にすることができます。しかし、2号の期間を長くする為に、拙速に1号の期間を短くするのは得策ではありません 。2号に移行する為には、実習生が資格試験に合格する必要があるからです。

入国後、1号の1/6以上の期間、監理団体による講習が必要ですが、送り出し側で入国前に適正な講習が行われれば、1/12以上に軽減されます。この期間の間、現場では、見学以外の活動が制限されています。結局、最大約35ヶ月間実習生として、従事してもらえることになります。

行える作業は、平成26年4月1日現在68種126作業に決められています(*3)ので、どの業種でもこの制度を利用できる訳ではありません。接客業や販売はもちろんのこと、畑作はよくても、稲作はだめ、カキ養殖はよくても、鰻やハマチの養殖はできないなど、対象職種はよく確認する必要があります。

*3 技能実習制度推進事業運営基本方針 別表 厚生労働省

1号で受け入れられる人数は法律(*4)で定められおり、受け入れ先の社員の1/20以内となっていますが、社員数を超えない範囲で、次の表の様に緩和されます。3人以上50人以下の中小企業なら3名までとなります。社員数2名なら2名まで、1名なら1名です。

*4 出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(抄) 十一 法務省

受け入れ可能な実習生数
受け入れ企業の常勤職員数技能実習生(1号)の数
301人以上全常勤職員数の1/20以下(端数切り捨て)
201人以上300人以下15人以下
101人以上200人以下10人以下
51人以上100人以下 6人以下
50人以下 3人以下

1号の実習生が要件を満たして、2号の在留資格になれば、次の1号の人員を受け入れられることになります。1号の期間が1年、2号の期間が2年で、3人の受け入れ枠があれば、3年目以降9人の実習生を確保できます。閣議決定された、延長案が実施されれば、5年目以降15人となります。

手続

自社の関連会社が送り出し国側にない場合、団体監理型を選択するので、その監理団体に手続きを任せることになります。従って、まず、適切な、監理団体に入会する事が、最初の一歩となります。
監理団体は十数の書類を関係機関に提出します。もちろん、貴社で用意する書類もありますが、1から作成する必要がないよう、援助してくれます。監理団体は非営利団体ですので、書類作成で、実費以上を請求する事はありません。

問題点

外国人技能実習制度の問題は、大きく下記の2つに起因しています。

  • 受け入れ側に低賃金労働力確保を目的に制度を利用しようとする企業がある事
  • 実習生側に出稼ぎとして来日しようとする者がいること

さらに、両者を取り持ち、法外な利益を得ようとするブローカーや組織が暗躍することになりました。

2013年のアメリカ国務省の人身売買報告書(*5)では、この制度の問題を含めて、日本が「Tier2」に指定されています。Tier(分類)は1, 2, 2WL, 3の4種類で、1は要件を満たしている国で、アジアでは、韓国、台湾、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国です。2は、「米国の人身取引被害者保護法(TVPA: Trafficking Victims Protection Act)の最低限の基準に達してはいないが、顕著な努力で達成しようとしている国」です。
この指定は、2005年の報告書から変わっていません。アメリカは人身売買に関して厳格に各国の対応を求めていて、2007年には当時の米国務省人身売買監視・対策室長がわざわざ来日して、制度廃止を日本政府に提案するほどです。

*5 Trafficking in Persons Report 2013, US Department of State


法務省では不正行為を統計していますが、平成24年度の広報資料(*6)によると「賃金等の不払い」「労働関係法令違反」が大半であることがわかります。また、100%「団体管理型」で生じており、さらに、実習機関(受け入れ企業)で生じた比率は、95.4%です。

*6 平成24年の「不正行為」について 法務省入国管理局 平成25年3月29日


不正行為は、 「技能実習生の入国・在留管理に関する指針」に具体例として下記の19があげられています。

(1) 暴行・脅迫・監禁
(2) 旅券・在留カードの取上げ
(3) 賃金等の不払
(4) 人権を著しく侵害する行為
(5) 偽変造文書等の行使・提供
(6) 保証金の徴収等
(7) 雇用契約に基づかない講習の期間中の業務への従事
(8) 二重契約
(9) 技能実習計画との齟齬
(10) 名義貸し
(11) 実習実施機関における「不正行為の報告不履行」・「実習継続不可能時の報告不履行」
(12) 監理団体における「実習継続不可能時の報告不履行」・「不正行為の報告不履行」・「監査,相談体制構築等の不履行」
(13) 行方不明者の多発
(14) 不法就労者の雇用等
(15) 労働関係法令違反
(16) 営利目的のあっせん行為
(17) 再度の不正行為
(18) 日誌等の作成等不履行
(19) 帰国時の報告不履行

ただし、上記は、受け入れ側の不正行為です。「行方不明者の多発」は受け入れ側に問題があり、行方不明になるケースが対象で、研修生側がブローカーなどの誘いにのって、失踪する場合は、上記には含まれません。

研修制度を管轄するJITCO(国際研修協力機構)の統計では2013年度の2号の行方不明者数は2,822人と報告しています。同年度の2号への移行者は51,747人ですから、その5.5%にもなります。(法務省の統計では2014年6月末の2号の在留資格者総数は91,320人ですから、この数字を使うと、その3.1%となります。)
中には、出国前から母国で借金をして実習生になる者もいて、最初から、お金を稼ぐ為にこの制度を利用する者もいますが、失踪は、一概に実習生の意識の問題で片付ける訳にもいきません。不法就労を斡旋するブローカーは、言葉巧みに、彼らに接触して、引き抜いて行きます。円安が進む昨今の状況では、思った以上に母国に送金ができなくなる事で、失踪に踏み切る実習生が増えるかもしれません。